あの日の出来事について

 

パリで起きたテロのことで、僕も心を痛めている人間の一人です。それに関するさまざまな議論に対してもいろいろと思うところはあります。大変難しい問題です。

そんな中、僕が思い浮かべるのは、今現在勉強を続けている留学生達のことです。

それは僕も留学していた時にテロと直面した経験がある一人だからです。事件が起きた彼の地にも僕が知っている演奏家を志している人達も住んでいます。

僕が留学生活を送っていたのは2000年の9月から2003年まで。場所はニューヨーク。その出来事が起きたのは2001年の9月11日。僕が留学生活2年目に突入したばかりの頃でした。

留学を決めたことから話すと長くなるので割愛しますが、住み慣れた故郷を離れ、親元を出て外国の地で音楽の勉強をしよう!と決めたものの、当初は不安でいっぱいでした。一人で生活するのも初めて。まして知人も友人もいない土地。コミュニケーション(つまり言葉)が上手く出来るかどうか? 将来へ向けての不安、などと葛藤しながら無我夢中で頑張っていました。

ようやく、慣れてきた2年目の最初に起きたのが9.11のあの出来事です。改めて自分が今どこにいるのか?そしてどんな状況にいるのか?を再認識させられたのを今でも覚えています。不安な気持ちになったのは言うまでもありません。

学校の地下にあるコンサートホールに一時的に退避していた時に考えたのは、今の自分には将来の目標に向かって勉強に打ち込むしかない。応援してくれている人達の顔を思い浮かべて、それを勇気に変えて最初の一歩を踏み出し、その次の一歩を自分の力で踏み出すしかない、と考えたことも良く覚えています。

現在外国で留学生活を送っている方の多くが、特にフランスに住んでいる人達は特に、不安や恐怖を感じているかもしれません。でも、初心を忘れないで今出来ることを頑張って欲しいなと願っています。それしか出来ないし、僕もそんな皆さんへエールを送ることしか出来ません。

ジュリアードシンフォニー・シーズンオープニングコンサート

ジュリアードシンフォニー・シーズンオープニングコンサート

写真は、9月11日のちょうど1か月後。10月11日にジュリアードの同級生達と一緒にアランフェス協奏曲を演奏した時のものです。解像度の低い写真なので、皆さんにははっきりとどんな状況なのか見えないと思いますが、僕にとっては、粗い写真だとしても、最もはっきりと覚えている思い出の写真のひとつです。

音楽の力で世の中を変えられる、なんて大それたことは考えていませんが、どんな世の中になっても音楽家と言う職業の人は存在します。必要とされるはずです。

せめて僕が9.11に直面した時どんなことを考えていたのか?をここに記すことで、そんな留学生の皆さんへの応援になるのであればいいなと願っています。

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