練習時に録音するべきか?

 

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レッスン時に「録音してもいいですか?」と訊かれることがあります。”いいですよ”とお返事するものの、心の中で実は「本当に(その生徒さんにとって)有益なことなのかな?」と不安な気持ちにもなります。

これは”普段の練習を録音して後で聞き直すこと”も同様のことが言えます。

あとで冷静に聴きなおすことで客観的に自分の演奏を振り返えることが出来る反面、もっとも大切な「自分の音を聴くことが疎かになる」という大きなリスクを伴います。

レッスンで録音するのも、先生のアドヴァイスを一言でも聞き漏らさないように!という集中力を削ぐ危険性をはらんでいます。

悪い見方をすれば「先生のアドヴァイスは家に帰ってじっくり聞きなおしますからね!」と言っているようなものです。実際、海外の講習会で「録音してもいいですか?」と訊いたが故に、いきなり烈火のごとく怒られていた受講生を見たことがあります(苦笑)傍らで見ていた私は「何もそこまで怒らなくても(笑)」と思っていたことも付け加えておきます(笑)先生からすれば「(一生懸命)アドヴァイスするんだから(一生懸命)聴いてよ」という気持ちです。

最終目標は”人前で上手に弾く”です。でも(経験上)弾き始めた瞬間から弾き終わるまで終始一貫上手く弾けたことは一度もありません。ただそれに限りなく近い満足感を得るためには、出来るだけ早く「自分の音がどう聴こえるか?」をヒントに「この後どう対処すれば良いか?」を見つけなければいけません。理想はリハーサル中に見つけることです。

「いつもより音が固い」→「緊張でいつもより力が入り過ぎているかも?」
「発音が不正確」→「右手のタッチ?左右のタイミング?フォーム?」
「テンポが速すぎる」→「テンションが上がり過ぎているかも?」

などです。

いきなり本番当日だったり、舞台上で急に見つけようとしても出来ません。

普段からその練習、つまり「自分の音を聴く」訓練をしましょう。

最初は出来なくて当然です。他人の話を聴くことだって難しのです。自分では意図しないのに、話をしていたら相手に誤解された、怒らせてしまった。あとで、振り返ると「こんな言い方したら誤解されるのも当然だ」とがっかりした経験は誰にでもあるはずです。

「諸刃の剣」という一見便利な武器を使って戦いを挑んだのは良いけど、相手に防御されたら、自分の側にも刃が付いていたことで窮地に追い込まれている状況に舞台上で追い込まれていませんか?

録音を客観的に聴いてみて「自分の音を聴けてないなあ。気づいていないのは○○か」と問題点を見つけて、次はそれをヒントに人前で上手く弾くための準備を万端にしましょう。

もし録音を聞き直して「ああ、上手く弾けた」「弾けなかった」だけになっているとしたら、良い練習をしていると勘違いしているだけで、実は最も好ましくない状況に身を置いているかもですよ。

ナイフも上手に使えば便利な道具ですが、間違えば自分の身体を傷つける危険物になります。長所と短所は表裏一体。諸刃の剣を使う時は特に肝に銘じたいですね。

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