【良い演奏について考える】暗譜は必要か? その3

   2019/12/16

7D24C074-CEE4-4979-AB16-8E2152E8CC66暗譜するために必要とされる「記憶した方がいい事柄」、今日は技術的な視点からです。思い浮かぶがままに書いているので全てとは言いませんが、ざっと挙げてみます。

1、左手の運指
2、右手の運指
もちろん記憶しようと練習してますよ!と思う方も多いと思いますが、意外に出来ていない人が多いのも事実です。右手に関しては特に感じます。

3、左右指の同期

つまり左指と右指がタイミング良く動いているか?です。指の動きだけでなく耳でも覚えます。同期している時はどんな演奏に聴こえてくるのか?それを覚えていないと練習時に「弾けているかどうかの判断が出来ない」という状況に陥ります。

瞬間的にコマ送りのような演奏になったり、弾き直しをしてしまう人いませんか?

それは例えば左手を正確に押弦するために、左の都合に合わせて右指の動きを止める、つまりテンポやリズムを無視して弾いているだけで、良い演奏には程遠い状態です。

でも、自分で「上手く弾けてる(はず)」と短期的に何度も記憶し、その状態に慣れてしまうと修正するのに大変苦労します。気をつけたいですね。

多くの人達が、上記1と2だけを記憶し、3を駆使して指だけを動かして演奏しています。

もし本当にそれが良い演奏の絶対条件だとしたら、人間は機械が奏でる演奏には敵わないという話になります。

次の4と5が最も重要です。

4、左右の指がスムーズに、そして正確に動く状態
指だけが単独で動くわけではありません。まずは頭で考え、どのように身体をコントロールすれば自分の思い通りに動くのか?試行錯誤しながら、好ましい状態を記憶し続けていく必要があります。

その際に重要になるのが身体感覚かな?と感じています。「指が軽く動く状態を探し、その時に身体がどんな感覚で動いているか?」を探してみましょう。オススメはその感覚を「言葉にする」ことです。いつもより頑張らない感じ、とか。スイスイ腕を動かす感覚、とか。

コントロール出来ている身体の状態を記憶することで、上手くなるための一歩が踏み出せるはずです。

5、精神的なコントロール
いわゆる「気持ちのコントロール」です。ただ、緊張しないためにはどうするか?ではありません。どのようにして演奏中、出来るだけ冷静になれるか?です。

そもそも人間である以上緊張することは当たり前なのです。緊張しない方法を探すことに無理があります。

かと言って場数をこなすだけでは、必ずしも解決に繋がりません。失敗を繰り返したり、緊張という状態に悪い意味で慣れたり(麻痺しているのと同じ?)しても良い演奏になる保証はありません。

緊張するとどんな演奏になるのか?一度で良いから思い切って人前で弾く場面で、それを見つける努力をしましょう。何度も同じ失敗を繰り返すよりマシです。最初からミスは無くならないと思います。でも、以前なら大事故を起こしていたのに、最小限に留めることが出来た、という感覚になると思います。

演奏中に起きたミスを手掛かりに「本番で・・・となるいうことは、つまり(練習で)・・・をやると良いかも?」という感じで試行錯誤するのです。例えば、

手が震える→ 力が入り過ぎているのかも?→ 50%くらいの感覚で弾いている状態を覚えるための練習をする
テンポが速くなる→ 本番中に「自分の感覚では”ゆっくり”でも、他者には速く聴こえる」と意識することを覚えこませる →練習時に意識して弾きたいテンポより僅かにゆっくり弾く

つまり人前では「〇〇(という気持ち)で弾かなければいけない」と間違って記憶してしまっている感情を見つけ、(自分にとって)本番中意識した方が良い感情に置き換える、という作業です。

本番を重ねる度に成長する奏者は、まず問題点を実際の演奏中に見つけ、精神的なコントロールの術を練習で培います。そして人前で試し手応えを得ることで自信を深め、さらに修正を加え、さらに良い状態を記憶し、上手くなる、という好循環を生み出しているはずです。

時々偶然訪れる「調子の良い瞬間」ばかり待ち続けて暗礁に乗り上げないように、練習時に「気持ちの準備」もしておきましょう。

上手くなるための大きなヒントが本番でのミスに隠れています。

ある著名な方が「失敗と書いて”成長”と読む」と述べています。失敗を繰り返すような練習ではなく、失敗から成功へのヒントを出来るだけ多く「暗譜」しましょう。

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