【良い演奏について考える】暗譜は必要か? その2
音価
さて、暗譜するために必要とされる「記憶した方がいい事柄」、覚えようとしている曲(音楽)に関することから考えてみます。
1、音高を記憶する
つまりドレミ・・・です。音の高さです。ギターを始めたばかりの頃を思い出してください。誰でも最初は楽譜を読み、その音が何弦の何フレットにあるか?どの指で押さえ、どの指で弾くか、その後音を出したはずです。具体的にいうと「ド」と読み、2弦の1フレット目を1指で押さえ、i指で弾いて、「ああ、この音がドという音なんだ」と聴いて記憶しましたよね? この音高が時間軸(つまり横の流れ)に複数個連なってメロディーになります。
2、音価を記憶する
音の高さだけでは音楽としては不十分です。音価、つまり音の長さです。これも聴いて記憶します。4分音符、8分音符、符点など、さまざまな音価の組み合わせがリズムです。そしてこの音価、テンポによって長さは異なります。
3、響きを記憶する
さまざまな音高が同時に発音された時にどんな響きになるか?つまりハーモニーを記憶する必要があります。長調、短調、協和音、不協和音など、耳で聴き取れてはじめて楽譜通りに弾けたか?そして自分の記憶通りか、確かめられます。
ここまでは、多くの人がなんとなく記憶していたり、繰り返し練習することで自然と得ていく経験(という名の記憶)です。
ただ、テーマは”良い演奏をするため”の記憶力、つまり暗譜です。個人的には次の4が最も難しいと考えています。
4、「上記1〜3の記憶をどのように配分して使うか」を記憶する
1〜3に関してはあくまで理論上の話です。練習時に短期的に記憶する事は可能だし、ミスを重ねる事で避けられるようになる可能性が高まります。ただ大切なのは記憶することではなく、良い演奏をすること、です。そのためにどんな記憶を得るか?を考えなければ机上の空論で終わります。
良い演奏するということは、曲の良さ・魅力を聴き手に届け、共感を得るか?にかかっています。
ある場面ではメロディーの美しさ、曲の途中でリズミカルな雰囲気に変わればリズム、ハーモニーが変化すれば響きの豊かさ、それらを客観的な耳で感じ取らなければいけないのですが、3つの要素は全て椅子の脚のように支え合って存在しています。脚が2本では不安定、まして1本では座っていられません。3本になってやっと少しは安定します。
演奏中、この小節はメロディー8、リズム1、ハーモニー1、次はメロディー6、リズム3、ハーモニー1、という感じで上手くバランスを取らなければ、人が共感する演奏にはなりません。
先生にメロディーを明瞭に!と言われたので家で練習したら、次のレッスンで”止まらないように弾いて”と言われた。先々週は止まらないで弾けてたのに・・・なんだか下手になってしまったかも?
なんて経験ありませんか?記憶した情報の配分、つまりバランスが崩れて演奏どころではなくなっている状態です。
もちろん情報配分を数値化することは人間である以上出来ません。あくまでも感覚上の例え話です。
しかし、上手く弾ける時のバランス感覚も記憶することで、良い演奏に近づけます。
楽譜を目で追ったり、音を耳でよく聴いたりすることで、記憶を強化しましょう。
そして椅子の4本目の脚になるものが、技術的な記憶です。
これに関しては、また明日!
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