そもそも「ミス」とは?

   2020/11/05

publicdomainq-0006848xqgpfw演奏において、そもそも「ミス」ってなんでしょう?

ざっとミスについて下記に分類してみました。異論反論あるかと思いますが、いくつか”確かに!”と思う点が多ければ嬉しいです。

その1、楽譜の読み違い、そして弾き間違い
譜面上の音高(ドレミ・・)やリズム等々と違う音を出してしまった。楽譜上で提唱する運指に固執してしまい演奏を止めてしまった、などです。

多くの演奏者が気にしているミスがこれです。そして、以上のことばかり意識しながら弾いてしまっている人を頻繁に目にします。これだけでは、ただの「音当てゲーム」にしかなりません。だったら機械に弾いてもらった方が良い、ということになってしまいます。

楽譜に書いてあることは、ただ音符を羅列しているのではありません。指の動かし方だけを指示している説明書ではないのです。

活発な曲です、と明記してあるのに自分の都合を優先して”弾けるテンポ”に変更していませんか?明るい曲です、と曲調が言っているのに暗い音色で弾いていませんか?飛び跳ねるようなリズミカルな曲なのに、重々しく弾いてませんか? これらこそが”読み間違いによる正真正銘のミスです。まずはこのミスをなくすことから始めましょう。

その2、自分の演奏が聴こえていない
1の楽譜の読み間違いが”入力ミス”であれば、この2番は”出力ミス”です。演奏するからには”聴衆にどう聴こえているか?”を自らの耳で判断することが必要不可欠です。
速く軽快に弾いたつもりが(録音で聴きなおすと)バタバタして聴こえた。”明朗な曲調が暗く沈んだ雰囲気になっていた”など。”綺麗な音で弾いたつもりなのに、聴き手からは不明瞭な音で良く聞こえなかったと言われた”など。
案外”自分はこう弾きたい”という願望や思い込みが、そうさせているのかもしれませんね。
練習という行為の8割は”(自分の耳で)聴くこと”だと信じています。

その3、失敗は成功の糧だと気づいていない
 ミスが悪いんではないんです。ミスを”繰り返す”こと、これがNGです。人間ですから誰でも失敗はします。でも、その失敗から何かを学んで、次のチャンスでは一歩でも成功に近づけましょう。以前のブログにも書きましたが、ミスを自力で見つけることが第1歩目。そして次どうしたら上手く出来るか試行錯誤することが次のステップです。”ミスがたくさんある”と気付いているあなた、今後上手くなるチャンスが多く訪れるはずです。

その4、記憶の仕方が不適切
 記憶には「短期記憶」と「長期記憶」の2種類があると言われています。簡単に言うと短期記憶は”丸暗記”のこと。長期記憶は”知識にする”ことです。
高校の英語で無数の単語を暗記したと思います。テストに出るから・・・という理由で(笑)でも、その時に覚えた単語、今でもすべて思い出せますか?意味まで覚えていますか?多くの人達が忘れちゃったことでしょう。
何度も何度も弾いて曲を覚えるという作業は、どちらかというと短期記憶に分類されます。一時的には記憶力っが強化されますが、繰り返すという作業を止めると、時間と共に記憶力は低下するのが自然なことです。
若い頃はそれで良かったかもしれません。でも人間は通常ある年齢から体力は低下していくけど、知力は経験を積んでいくことによって上がっていくはずです。
丸暗記に頼ってばかりでなく、昔の楽しい思い出が走馬灯のように次から次に浮かんでいくような感じで、最初メロディーがこう始まって、次に響きが変化して、そしてリズミカルな動きから、曲が最高潮に達して・・・といった感じで記憶していれば、”昔練習したんだけど今では綺麗さっぱり忘れちゃった”なんてことは少なくなるはずです。

その5、不自然な身体の動き
演奏も同じですが、楽器を操作する身体も自然な動きを身に着けることが重要です。短期的には無理な弾き方をして良い演奏が出来たとしても、次第に身体への負荷が大きくなってしまい、痛みや動作の不具合などが生じてしまいます。譜面上や実際に聴こえてくる音で判断するのは経験や知識が必要になります。自分にしか聴こえづらい、”身体の声に耳を傾ける”ことが大切です。

そもそもミスに対する定義は画一的ではないはずです。練習の進度、奏者の習熟度などで異なります。人それぞれ見る角度によって違います。

ミスを見つけるためには、さまざまな先入観、思い込みや勘違いなどを排除して、常に”どこかに上手くなるためのヒントがあるはず”とあらゆる可能性を検証してみることが大切です。

山も5合目と頂上では見える風景が異なります。上手くなったから、曲が仕上がってきたから、といって油断しないで常に広い視野で眼下にある景色を見つめる、そんな冷静な心で練習をしたいですね!

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コメント一覧

  1. 永田忠義 より:

    ほとんど練習時に録音していませんでした。
    これからは録音してチェックする様にしてみます。
    便利な世の中ですがやはり先生にチェックしてもらう事が必要でしょうね〜

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